When all the wiches might be seen



また持っていかれちまった。この俺としたことがこう何度も。ったくウチの女共もこう毎回毎回情けねえな。「今回もやられたの?」「暢気に笑ってんじゃねーよバカツナが」「ひどいなぁ。でも、そんな人材、ウチに欲しいね」「どうだか。裏切られるかもしれねーぞ」情報はどこの世界でも命。数ヶ月前のパーティも前のパーティもこの間のパーティも、敵から情報を仕入れる為に潜入させた女の護衛と見張りを兼ねて近づいたんだが。毎回例外なくある女に持っていかれる。もちろんボンゴレから連れていった女だってなかなかのものだが。この女、本当に手馴れている。ただ色気だけで迫るって訳じゃねぇ。自分を可愛く見せる術も、男によって態度を使い分ける術も、甘え方も。もちろん、一番目を惹くのはその容姿。「でもさ、リボーン、気に入ってるみたいだよね。褒めに褒めてさ」短絡的なやつだな。でもまぁ、気に入ってるといえば気に入ってる。手元に置いて飼ったら飽きなそうだ。「スカウト、してみる?」は?何言ってんだ?「毎週土曜の夜はこの店にほぼ現れるって。名前は。たぶん本名だよ」こいついつの間に調べたんだ?・・・ったくあなどれねぇな。


なんだ?店っつーか・・・学生中心のクラブじゃねぇか。随分派手に飾ってあるが。まさか、学生・・・?こんなマフィア丸出しの格好じゃ入れねぇな。若いのを連れてきて良かった。連絡が入る。「リボーンさん、たぶんそうだと思われる女が居ました」「連れてこい」数分後、俺の前に現れたのは。パーティの夜の様に宝石で着飾ってはいないが雰囲気で判る。男を惹き込む魔女の雰囲気を持った女。「よぉ」「・・・・・・・・・・あの、私、何か悪いことしましたか?」「したっちゃーしたな」青ざめる女。まぁ、マフィアじゃなくてもしらねぇ男に囲まれちゃ普通だな。怖がらせても話は進まねぇし部下を下がらせ二人で話した。は驚いたことに何処のファミリーに所属しているでもなく、だからといってフリーで潜入捜査をしていた訳でもないらしい。単にクラブに出入りしている連中(おそらくどこかのファミリーの人間だろう)に金で釣られてやっていたとのことだ。(ちなみにまだ大学生だそうだ)怯えているからだろうか。パーティの夜の様に態度を使い分けることもなく話す。ホントかどーかは判らねぇが。じゃあなんであんな裏絡みのパーティに現れるんだ?「お金欲しいし・・刺激的だし・・」「刺激的どころじゃねえぞ。一歩間違えれば死ぬぜ?」「もうそんな怖いことしない・・」「本当か?次パーティ会場で見かけたら撃つぜ?」ブルッと震えて何度も頷く。てことは、ボンゴレに引き入れるのも無理だな。だが。「まぁ、俺はお前が気に入ってる。刺激的な遊びがしたいというならこれから毎週土曜日はクラブじゃなくてここに来い。たっぷり遊んでやるよ」俺は少し笑いながら。クラブから少し離れた静かなバーを指差す。


そして再び土曜日。来るわけねえかと思いながらも興味心でバーへ行く。21時、22時。カラランと音を立ててバーの扉が開けばそこには男を惹き込む着飾った、魔女の姿。

When all the wiches might be seen (魔女に会える夜)

20061206